淡色野菜の代表的存在である『 ナス 』
様々な料理に使いやすいため重宝されているナスですが、どのような栄養素が含まれ、体内でどのような働きをするのかご存知でしょうか。
夏バテ症状や高血圧の予防に役立つカリウム、免疫力の向上やアンチエイジング等にも効果が期待できるナスニン等、様々な働きをもつ栄養素が豊富に含まれています。
この記事ではナスに含まれている栄養素や、栄養素を効率良く摂取できるレシピを管理栄養士がご紹介します。
体内へ効率的に栄養素を吸収する方法はあまり知られていないので、是非参考にしてくださいね。
目次
1 . ナスに含まれる主な栄養素と効能
ナスに多く含まれる栄養素は主に4つです。
各栄養素の効能について解説していきます。
①カリウム
人体に必要なミネラルの一種であるカリウム。
カリウムはナトリウムや水分の排出を促す作用があります。
水分とともに体の熱を放出するため、のぼせや火照りを鎮める効果もあり、だるさや食欲不振などの夏バテ症状の予防や緩和をすることが可能です。
そのため、高血圧の要因となる塩分の摂りすぎを調節し、むくみの改善や予防に役立ちます。
②ナスニン
ナスの皮の鮮やかな紫色は、ポリフェノールの一種であるナスニンによるもの。
ナスニンには強力な抗酸化作用があり、免疫力の向上やアンチエイジング、がん予防にも効果が期待できます。
また、アントシアニン色素は視力や眼精疲労の改善にも効果的です。
③食物繊維
ナスに含まれる食物繊維の多くが不溶性食物繊維です。
不溶性食物繊維は排便を促し、有害物質を体外へ排出する働きがあります。
便秘の予防や改善はもちろん、血糖値の上昇を緩やかにし、血中コレステロール値を低下させる働きもあるので、心筋梗塞や糖尿病などの生活習慣病の予防にも期待することができます。
④葉酸
ビタミンB群に属する葉酸。
葉酸は造血作用のあるビタミンで貧血や動脈硬化の予防、心疾患のリスク低下も期待することができます。
その他にも、妊娠中の方が葉酸を十分に摂取することで、胎児の発達異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができます。
2 . ナスと相性の良い食材
ナスの紫色の色素であるナスニンには強い抗酸化作用があり、オリーブ油やこめ油など抗酸化作用をもつ油と一緒に摂取することで体内へ効率的に吸収することができます。
よって、抗酸化作用をもつ食品同士で摂取することで悪玉コレステロール値の低下や善玉コレステロール値の維持に働き、中性脂肪の増加を防いでくれるという相互作用が得られます。
更に働きを助ける食べ合わせとして、β‐カロテンが豊富に含まれているニンジンやほうれん草、かぼちゃ、ピーマン、トマト等の強い抗酸化作用をもつ色の鮮やかな野菜や果物が挙げられます。
また、ナスに含まれるカリウムは水溶性食物繊維のアルギン酸を豊富に含むオクラやモロヘイヤ、なめこ、ワカメ等の海藻類が相性の良い食材として挙げられ、コレステロールの低下や高血圧、動脈硬化を予防する効果が期待できます。
このことから、ナスは上手く食材を食べ合わせることによって、悪玉コレステロール値の低下や中性脂肪の増加防止、高血圧や動脈硬化を予防する効果などが期待できますよ。
3 . 栄養素を効率良く摂取できる調理法
ナスの栄養素を効率良く摂取できる調理ポイントは3点あります。
以下の調理法を踏まえ、上手く栄養素を摂取しましょう。
①皮は剥かずに調理
食物繊維であるナスニンは皮に豊富に含まれているため、皮は剥かずにそのまま食べましょう。
さらに、皮ごと調理することによって旨味成分であるグアニル酸が増加し、ポリフェノール等の栄養素も上手く摂取することができます。
②油と一緒に調理
ナスに含まれる栄養素は水に溶けやすい性質のものが多いため、油と一緒に調理することで栄養素の流出を防ぐことが可能です。
また、ナスニンの流出を防ぐことにより、皮が鮮やかな紫色に仕上がる効果もありますよ。
③アク抜きは塩で
ナスは切った断面が変色したり、食べた時に苦味を感じるアクが含まれているため、調理法によってはアク抜きが必要な場合もありますよね。
そこで、水にナスを晒してしまうと水溶性の栄養素が流出してしまうため、塩を用いてアク抜きをしましょう。
ナスの重量に対して1%の量の塩を断面に塗し、10分程置いて水分を拭きとればアク抜きができます。
さらに、塩を用いてアク抜きをすることで、炒め物や揚げ物を色鮮やかに仕上げることができますよ。
4 . 栄養豊富なナスを使ったおすすめレシピ
ナスを使ったおすすめレシピ3品をご紹介します。
栄養素を活かした調理法や相性の良い食材と調理をし、効率良く栄養素を摂りましょう。
『自家製めんつゆ』の作り方はこちらの記事を参考にしてくださいね。
市販のめんつゆをお使いになる場合は、レシピ記載の半量程を希釈してお作りになってください。手軽にお作りいただける3品なので、是非お試しくださいね。
5 . まとめ
以上、ナスの栄養素について解説しました。
ナスはカリウムやナスニン、食物繊維の等の栄養素が豊富な食材でしたね。
栄養素を効率良く摂取するため、以下の点に注意しましょう。
⑴ オリーブ油やこめ油などの抗酸化作用をもつ油と一緒に摂取する
⑵ β‐カロテンを含むニンジンやほうれん草、かぼちゃ、ピーマン、トマト等と合わせて調理をする
⑶ 水溶性食物繊維を含むオクラやモロヘイヤ、なめこ、ワカメ等と合わせて調理をする
⑷ 皮は剥かずに、油と一緒に調理する
⑸ 塩を用いてアク抜きをする
ナスを食事に取り入れ、健康的な日々を送りましょう。
先程、ご紹介させていただいたレシピも是非お試しくださいね。
当記事が参考となり、1人でも多くの方の健康増進に携われたら幸いです♪
《参考文献》
⑴ 戸塚雄弐 , オールガイド食品成分表 , 実教出版編修部編 , 実教出版 .
⑵ 鈴木昌子 , 最新決定版 食材事典 , 廣田孝子監修 , 長崎有編 , 学研プラス .
⑶ 髙橋秀雄 , からだにおいしい キッチン栄養学 , 宗像伸子監修 , 小元慎吾編 , 高橋書店 .
⑷ 田村正隆 , くらしに役立つ栄養学(第2版) , 新出真理監修 , ナツメ出版企画編 , ナツメ社 .
⑸ 髙橋秀雄 , 正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学 , 吉田企世子監修 , 梅野浩太編 , 高橋書店 .