緑黄色野菜の代表的存在である『 トマト 』
幅広く使われているトマトですが、どのような栄養素が含まれ、体内でどのような働きをするのかご存知でしょうか。
動脈硬化の予防や改善に働き、コレステロール値を低下させるリコピン、疲労回復に役立つクエン酸、美肌効果や風邪予防に期待ができるビタミンC等、様々な働きをもつ栄養素が豊富に含まれています。
この記事ではトマトに含まれている栄養素や、栄養素を効率良く摂取できるレシピを管理栄養士がご紹介します。
体内へ効率的に栄養素を吸収する方法はあまり知られていないので、是非参考にしてくださいね。
目次
1 . トマトに含まれる主な栄養素と効能
トマトに多く含まれる栄養素は主に5つです。
各栄養素の効能について解説していきます。
①リコピン
トマトの優れた栄養素といえば赤い色素の成分であるリコピンです。
強い抗酸化作用があることから、生活習慣病の原因物質でもある活性酸素の過剰な発生を抑制し、動脈硬化などの生活習慣病の予防や改善に効果的であると言えます。
リコピンにはコレステロール値の低下や血流を改善する効果があるため、臓器や細胞の働きを活発化させて代謝を上げ、脂肪などが蓄積されにくい体をつくると期待されています。
リコピンが活性酸素を抑制することによって肌細胞を守り、健康な肌を保持することに繋がってアンチエイジングや美肌効果が期待できる成分です。
②クエン酸
トマトの酸味成分であるクエン酸。
クエン酸は疲労物質である乳酸の生成を抑え、疲労回復を助ける働きがあります。
また、胃粘液の健康を保つ働きがあるため、疲労や夏バテなどで体力が低下している時にもおすすめです。
③ビタミンC
トマトに含まれるビタミンCにはリコピンと同じ抗酸化作用があり、活性酸素の働きを抑える効果が期待できます。
活性酸素には皮膚や粘膜を劣化させる働きがあるため、ビタミンCによってその働きを抑え、コラーゲンの生成を促進することから免疫力を保つ美肌効果が期待できますよ。
さらに、ビタミンCは風邪などの病気から身体を守るため、免疫力の向上にも働きます。
④β‐カロテン
抗酸化作用のあるβ‐カロテンの含有量が多いトマト。
β‐カロテンは体内に必要な分だけがビタミンAに変換され、粘膜の健康維持や視力の調整を助ける働きがあります。
⑤グルタミン酸
種の周りにあるゼリー状の部分には、うま味成分のグルタミン酸が多く含まれています。
グルタミン酸には末梢血管の収縮を防ぎ、血圧の上昇を抑える働きがあります。
内臓脂肪の消化を促進し、蓄積されにくくする効果も期待できます。
2 . トマトと相性の良い食材
トマトに豊富に含まれているリコピンやβ‐カロテンは油に溶ける特性をもっているため、オリーブ油やこめ油など抗酸化作用をもつ油と一緒に摂取することで体内へ効率的に吸収することができます。
よって、抗酸化作用をもつ食品同士で摂取することで悪玉コレステロール値の低下や善玉コレステロール値の維持に働き、中性脂肪の増加を防いでくれるという相互作用が得られます。
その他にも、リコピンの吸収を高める玉ねぎやにんにく、ねぎ等のユリ科野菜、牛肉、サバやイワシ等のオメガ3脂肪酸が豊富な青魚を組み合わせることにより、更に栄養素の吸収率を高めることが可能ですよ。
このことから、トマトは上手く食材を食べ合わせることによって、悪玉コレステロール値の低下や中性脂肪の増加防止、リコピンやβ‐カロテンの吸収率を上げる働きなどが期待できます。
3 . 栄養素を効率良く摂取できる調理法
トマトに含まれるリコピンは脂溶性の色素であるカロテノイドの一種。
カロテノイドを多く含むトマトは、加熱調理をしても効果が損なわれにくく、生食よりも油と一緒に調理することでリコピンが体内に吸収されやすくなるのも特徴です。
そこで、トマトを調理する際は油炒めや揚げ物など、油を用いた調理法がおすすめですよ。
一方、トマトに含まれるビタミンCは熱に弱いため、加熱をすると栄養素が壊れてしまいます。ビタミンCを効果的に摂取したい方は、サラダのような生食で召し上がってくださいね。
このように、摂取したい栄養素によって調理方法を選択し、トマトの栄養素を効率良く摂取しましょう。
4 .栄養豊富なトマトを使ったおすすめレシピ
トマトを使ったおすすめレシピ3品をご紹介します。
栄養素を活かした調理法や相性の良い食材と調理をし、効率良く栄養素を摂りましょう。
『自家製めんつゆ』の作り方はこちらの記事を参考にしてくださいね。
市販のめんつゆをお使いになる場合は、レシピ記載の半量程を希釈してお作りになってください。手軽にお作りいただける3品なので、是非お試しくださいね。
5 . まとめ
以上、トマトの栄養素について解説しました。トマトは、リコピンやビタミンC、β‐カロテンの等の栄養素が豊富な食材でしたね。
栄養素を効率良く摂取するため、以下の点に注意しましょう。
⑴ オリーブ油やこめ油などの抗酸化作用をもつ油と一緒に摂取する
⑵ にんにくやねぎ等のユリ科野菜、牛肉、サバやイワシ等の青魚と合わせて調理をする
⑶ ビタミンCを効果的に摂取したい場合はサラダのような生食を選ぶ
トマトを食事に取り入れ、健康的な日々を送りましょう。先程、ご紹介させていただいたレシピも是非お試しくださいね。
当記事が参考となり、1人でも多くの方の健康増進に携われたら幸いです♪
《参考文献》
⑴ 戸塚雄弐 , オールガイド食品成分表 , 実教出版編修部編 , 実教出版 .
⑵ 鈴木昌子 , 最新決定版 食材事典 , 廣田孝子監修 , 長崎有編 , 学研プラス .
⑶ 髙橋秀雄 , からだにおいしい キッチン栄養学 , 宗像伸子監修 , 小元慎吾編 , 高橋書店 .
⑷ 田村正隆 , くらしに役立つ栄養学(第2版) , 新出真理監修 , ナツメ出版企画編 , ナツメ社 .
⑸ 髙橋秀雄 , 正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学 , 吉田企世子監修 , 梅野浩太編 , 高橋書店 .