健康診断で『 LDL(悪玉)コレステロール 』の値を指摘され、気にされている方も多いのではないでしょうか。
コレステロールは体内に存在する脂質の一つです。
LDLコレステロール値が高いと動脈硬化のリスクが高まり、脳卒中や狭心症、高血圧、心筋梗塞などの原因になりうることから食生活を見直すことが重要です。
そこで、LDLコレステロール値を下げる効果が期待できる食材や飲み物について管理栄養士が解説します。
調理方法の工夫も合わせてご紹介するので是非参考にしてくださいね。
目次
1.LDLコレステロール値を下げる食材
動脈硬化のリスクを防ぐため、LDLコレステロールを下げる食べ物を積極的に摂りましょう。
そこで、効果的な食材を5つの栄養素別にご紹介します。
①食物繊維
食物繊維は小腸でLDLコレステロールが吸収されるのを抑え、余分なコレステロールの排出を促します。
動物性食品にはほとんど含まれていないため、野菜や海藻類などの植物性食品から食物繊維を摂りましょう。
以下、食物繊維が豊富な食材をカテゴリ別にご紹介します。
≪ 野菜 ≫ ブロッコリー、グリーンピース、ごぼう、オクラ、枝豆、アボカドなど
≪ 海藻 ≫ ひじき、乾燥わかめ、海苔など
その他にも、食物繊維を多く含むきのこ類を料理に加えると食べ応えがプラスされ、満足度も高まります。
さらに、主食を玄米や雑穀米にすると手軽に食物繊維が摂れるのでおすすめですよ。
②抗酸化ビタミン
抗酸化作用でLDLコレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の予防に役立ちます。
主にトマト、ほうれん草、ピーマン、ブロッコリー、パプリカ、オクラなどの緑黄色野菜はカロテンやビタミンC、ビタミンEといった抗酸化ビタミンを豊富に含んでいます。
③植物性たんぱく質
植物性たんぱく質は血管壁を丈夫にする働きがあり、動脈硬化の予防が期待できます。
特に納豆や豆腐、味噌、きな粉、枝豆などの大豆たんぱく質はLDLコレステロール値の改善に役立ち、カルシウムや鉄などのミネラルも多く含んでいます。
④EPA・DHA
青背の魚に豊富なEPAやDHAにはLDLコレステロールを下げる効果が期待できます。
主にサバ、サンマ、アジ、イワシなどの青背魚はEPAやDHAを多く含んでいます。
また、血中の中性脂肪を下げる効果もあることから、脂質異常症が気になる方は積極的に摂りたい食材ですね。
⑤不飽和脂肪酸
不飽和脂肪酸はLDLコレステロールや血圧を下げる効果が期待できます。
主にオリーブ油やごま油、大豆油、キャノーラ油(なたね油)、こめ油などの植物由来の油は不飽和脂肪酸を豊富に含んでいます。
日頃から使用している油を植物由来の油へ替えてみてはいかがでしょうか。
ただし、良質の油でも脂質は1gあたり9kcalとカロリーが高いので、使いすぎには気をつけましょう。調理油の1日の目安量は、1人当たり大さじ2杯です。
2.LDLコレステロール値を下げる飲み物
LDLコレステロールを下げる働きのある飲み物を5つご紹介します。
日頃の水分補給に取り入れ、意識して摂取しましょう。
①緑茶
緑茶にはカテキンが豊富に含まれています。カテキンはLDLコレステロールを下げる効果が期待できる栄養素です。
さらに、肥満や心血管疾患のリスクを低下させる働きもあります。
②豆乳
豆乳には大豆たんぱく質のほか、脂質やイソフラボン、サポニンなどが豊富に含まれています。
このうち、大豆たんぱく質はLDLコレステロールを下げる効果があることで注目されている栄養素です。
③アーモンドミルク
アーモンドミルクは抗酸化作用のあるビタミンE、フィトケミカル、αリノレン酸、不飽和脂肪酸などを豊富に含んでいます。
これらの栄養素による働きによってLDLコレステロールを低下させます。
④トマトジュース
トマトに多く含まれているリコピンには過剰なコレステロールを回収し、肝臓に戻す作用があるHDL(善玉)コレステロールを増やす働きがあります。
トマトジュースはリコピンが凝縮しているため、効率良くLDLコレステロールを低下させます。
⑤青汁
特定保健食品や機能性表示食品の青汁は、LDLコレステロールの低下が期待できます。
青汁に配合されている不溶性食物繊維のキトサンは、胆汁酸と結びついてLDLコレステロールの排出を促す働きがあります。
ただ、全ての青汁に効果が期待できるわけではなく、国の審査を受けて認可を得た特定保健用食品や、科学的根拠に基づいたデータを消費者庁へ提出している機能性表示食品の表示を確認してから購入しましょう。
3.調理方法の工夫
LDLコレステロール値を下げるためには食材や飲み物選びだけではなく、調理方法にも気をつけましょう。
日頃の調理にひと工夫をすることで、より効果を得ることが期待できますよ。
①蒸す・煮る
油を多く使用する揚げ物や炒め物などの調理方法は脂質の摂取量が増えてしまいます。
そこで、LDLコレステロール値を下げるためには油を使わずに調理ができる蒸し料理や煮物、網焼きなどを選ぶと良いですね。
②LDLコレステロール値を上げにくい油を選ぶ
飽和脂肪酸を多く含むバターやラード、ヤシ油などの油脂類、トランス脂肪酸を多く含むマーガリンやショートニングなどの油は控えましょう。
そこで、油を用いて調理をする際は不飽和脂肪酸であるオリーブ油やごま油、大豆油、キャノーラ油(なたね油)、こめ油などの植物由来の油に替えると良いですよ。
ただし、良質な油だとしても過剰摂取は禁物です。最適な摂取量を心掛けて上手く活用しましょう。
是非、日頃の調理に取り入れてみてくださいね。
③肉類の下処理・食べ合わせ
肉類を選ぶ際は、鶏ささみ肉や鶏むね肉、牛肉や豚肉はヒレ肉、もも肉などの脂質の少ない部位を選ぶようにしましょう。
また、調理前に皮や脂身を取り除いたり、下茹でや湯通しをしたりする下処理も効果的です。
さらに、肉料理の献立を考える際には食物繊維を豊富に含む野菜や海藻類、きのこ類などの食材を一緒に摂るとLDLコレステロールの吸収を抑えるため、是非一緒に取り入れてみてくださいね。
4.まとめ
以上、LDLコレステロール値を下げる効果が期待できる食材や飲み物について解説しました。
LDLコレステロール値を下げるため、以下の点に注意しましょう。
⑴ 食物繊維や抗酸化ビタミン、大豆たんぱく質、EPA・DHAが豊富な食材を摂取する
⑵ 緑茶や豆乳、アーモンドミルク、トマトジュース、青汁などの飲み物を選ぶ
⑶ 蒸し料理や煮物、網焼きなどの調理方法を取り入れる
⑷ 植物由来のオリーブ油やごま油、大豆油、キャノーラ油(なたね油)、こめ油などの油に替える
⑸ 肉類は脂質の少ない部位を選び、海藻類やきのこ類などの食材と一緒に摂る
是非、調理方法の工夫も取り入れて健康的な日々を送りましょう。
LDLコレステロール値を下げるポイント踏まえ、日頃の食生活にお役立てくださいね。
当記事が参考となり、1人でも多くの方の健康増進に携われたら幸いです♪
《参考文献》
⑴ 戸塚雄弐 , オールガイド食品成分表 , 実教出版編修部編 , 実教出版 .
⑵ 鈴木昌子 , 最新決定版 食材事典 , 廣田孝子監修 , 長崎有編 , 学研プラス .
⑶ 髙橋秀雄 , からだにおいしい キッチン栄養学 , 宗像伸子監修 , 小元慎吾編 , 高橋書店 .
⑷ 田村正隆 , くらしに役立つ栄養学(第2版) , 新出真理監修 , ナツメ出版企画編 , ナツメ社 .
⑸ 髙橋秀雄 , 正しい知識で健康をつくる あたらしい栄養学 , 吉田企世子監修 , 梅野浩太編 , 高橋書店 .